巻くということ
巻いてあるもの、反物、壁紙、糸、リボン、マフラー、ロールケーキ、海苔巻き、少し考えただけでもたくさんのものがでてきます。これらは、巻いてあってほどくと意味をなすもの、または巻くことによって形をつくるものにわかれるように思います。
ことわざを調べてみると、「舌を巻く」「ねじを巻く」「しっぽを巻く」「管を巻く」「煙に巻く」、といろいろ出てきます。良い意味もあれば悪い意味もあるけれど、巻くことによって何かがおきるということなのでしょうか?いずれにせよ、身近なことに使われている気がします。
昨日から始まった「PERSONA CURATION」は、インスタレーション要素の強い写真展です。その中にロール状になっていた細長い写真も使われています。
写真といえば、L版やA4~A0くらいの、あるいはスクエアの、細長くてもパノラマ状のようなものを想像してしまいますが、もっともっと長い、1枚の写真ではなく、大小の写真を帯のような紙にプリントしたものを展示しています。それは、壁の天井近い部分からたらしたり、Rの壁に沿わせたりしています。ギャルリー・ジュイエは天井が少し高いし、Rの壁は他にはなかなかありません。そのスペースを存分に生かしていて、なるほど、こんな風に表現できるんだと、ギャラリーをもつものとして嬉しい限りです。
搬入時は、もちろん写真を巻いて持ってきたわけで、それをほどいて広げて、設営したときのときめきは、いつもとは少し違う気がしました。これが紙ではなく布だったら、洋服や着物を作っても素敵だなぁと思ったり、いろいろ想像が広がりました。
展示が終わったあとは、写真ごとに切るそうで、今回の展示の写真と並べて、この切った写真で展示するのも、また面白いかもしれません。巻いてあったものが、ばらばらになり、また意味をもつということですね。
写真展といえば、写真を綺麗に並べてあるのを想像しがちです。もちろんそれも見ごたえがあるものなのですが、こういう風に空間ごとデザインしてしまうインスタレーション的な写真展もまた興味深いものです。
文字で書くとわかりにくいですが、百聞は一見にしかず、是非実際にご覧ください。
「PERSONA CURATION」は明日(27日)まで。